守り伝える紙2011年08月10日 09時04分02秒


広い工場とは言え、この大きな紙を常に準備しておく余裕はないので、注文がたまったとき、大口の急ぎ仕事が入ったときの漉くので、景気のいい時でも年に3回ほど。
今では年に1・2回。

道具の維持も大変。乱暴に使うと壊れ、使わないと傷む。人間の手と一緒。

この眺望と呼ばれる山の柄を漉いたのはは何年振りだろう。全盛期はベストセラーのひとつだった。

大きくなってもやることは同じ。模様の範囲が広くなるだけ。

大きくなった分、さらに丁寧に

このコンピューター制御のモーターが入るまでは人力だった。

熟練した技術が必要だったがこのシンプルな機械は本当によくできている。

これが吊り上げる棒。
ほとんど故障知らず。

プレスして半乾き状態、これから板に張る作業を待つ。いい紙だ。

美かど №15 眺望 (幅広・三間用)2枚1組

取扱い問屋・・・加藤与商店

白い千羽鶴~今こそ2011年08月10日 20時33分45秒


この紙、楮雲肌紙で鶴を折るのは難しい。

折り紙にしては厚く、固い紙。

つんとした先端になるように折るには熟練が必要。

でも心を込めて折ること、それは祈ること
こんなメールをいただきました。

抜粋

帰り際に長田様より頂いた白い千羽鶴の為の和紙。帰宅後早速折って見ました。折る前は普通の折り紙と同じ感覚でおりましたが、形を仕上げる段階になりましたら本当に上手く折れずに悪戦苦闘しました。ところが、仕上がった折り鶴を見て一枚の紙がこんなに凜とした品格のあるものになることに感銘をうけました。長田様の思い入れがしっかりと伝わってくるようでした。

主人に長田様の白い折り鶴の意図を話しましたところ、主人も賛同致しまして、それではお盆の頃に檀家の皆さんにも折って頂こう。

東日本大震災に罹災されました皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

この度、越前(福井県)長田製紙所・長田和也様より、白い鶴作成のために「手漉き雲肌紙」という和紙が届きました。

この紙は、震災に遭い命を失って今なお見つけられることも無く、瓦礫の下で過ごしている方々の冥福をいのって鶴を折るため、(こうぞ)三椏(みつまた)雁皮(がんぴ)(あさ)の和紙の原材料全てをブレンドし、すべての技術を投入して今年4月に漉きあげた()()りの和紙です。

この紙を使って鶴を折り、共においのり下さればと思い、長田様にお願いしてお分け頂きましたので檀信徒の皆様にお贈りいたします。よろしかったら是非お折り下さい。

折り紙にはやや厚く硬いので、きれいに折るにはなかなか難しいのですが、どのような形の鶴でも心のこもった祈りはきっと届くでしょう。

折った鶴は、寺にお届け頂く必要はありません。ご自宅のどこかにおいてください。         

平成23年 盆の季節 永 昌 院 


折る・祈る、偶然なのでしょうか、この言葉の形の近さ。

祈りの形、折鶴は日本の心だと思います。