記憶の家2014年10月29日 21時19分48秒


快晴の空のもと、シートが張られた地蔵堂の奥に建つ古い家
もともと紙を漉く工場だった建物を改造して二階建ての住居

その後紙漉き職人だった主の家族が転居し、この家を父が買った

そして紙漉き職人だった叔母の家族が住んでいた。

3年前に叔母が亡くなり、同居していた従妹も移転し現在は空き家となる

築50年を超え、工場だった母屋はしっかりしているものの、増築した手前の建物の傷みが激しくなってきた 
そのままだと危険なため母屋を残して取り壊すことにした

我が家ほど古い家ではないが、今ではこういう木造建築は珍しくなった

まさに昭和そのものの木造の玄関

漉き場だった母屋の床下はしっかりしたコンクリート
高台にあるので湿気も少なく年月の割には痛みが少ない床板

2階は子供部屋に改装されていた
きしむ階段もにぎやかだった昔を語るようだ

残っていた古い襖紙は手漉きの紙
色はすっかり抜けているが雲肌はそのまま残っている

魅力的なコンセント
何とか直して使えないかな

取り壊し終了し残った母屋だけの家、敷地内にはネリ溜めの跡や今でも使える井戸もある
工場だったころの佇まい、紙を漉く音が聞こえてきそうだ

窓から山側を望めば虚空蔵菩薩堂
敷地横には地蔵堂、慈愛の気に囲まれた居間

これから外壁を直してまた新しい歴史を
それまでの板貼りの壁にして出来る限り元の姿に

紙の工場から紙漉き職人だった家族に…いろんな記憶の詰まった家

                 かみの記憶

                         また一歩、新しい記憶を作り出す