大ふすま展 ― 2019年09月04日 22時55分49秒
7月に入ってからの準備で突貫作業となった「大ふすま展」
30年前私がこの工場に戻った頃には売り上げのほとんどを占めていた襖紙、日本の暮らしから存在感のなくなってきた襖はいよいよ博物館に展示されるようになってしまったのか
残念な思いを振り切り、それならば今あえて襖展
そこで「現代の名工」である母 長田栄子が40年前に製作した漉き模様襖 「藤」を復刻することに
今の私よりはるかに若く漉き手として最も充実していた頃の作品は集中とこだわりの詰まった紙、何度も頼まれることがあるたび二度と作ることはできないと断っていた。
これを超える紙を作れないまま月日は流れ、張り替えられることもなく我が家の座敷に今も残る藤
ほぼ平穏に過ごしてきた我が家も、長女が戻り父が亡くなり、前を向き続けるための第一歩を踏み出し始めた。
今一度伝えるものは何だろう、という問いにそれは作ることであることを再確認、お盆前やや遅めの母の夏は始まった
80歳を超え漉き場に立つことも少なくなった母、だがやはりその手は現役
楮の処理ひとつにもこだわる流石の感覚と技術、まだまだその背中は遠い所にあるようだ
生き生きと現場に向かう姿、父が笑顔で見ている気がした
仕上がった紙の出来は素晴らしく、そのままでもずっと見ていられそうなくらいだったが
張ってこその襖紙、表具師の手を経て華やかな舞台に
誇らしげな藤がそこにいる
かみは終わらない
越前和紙 「大ふすま展」 紙の文化博物館にて9月6日開催
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