山の宝2021年05月24日 21時20分09秒

日曜日早朝、雨模様の中、完全防備のスタイルで大人たちはバスに乗る

今日は越前生漉き鳥の子保存会の研修、私は3年ぶりの雁皮採集

原料としてはほとんど枯渇している雁皮、保存会での研修で使うには自分たちで収穫しなければならない。でもそれこそがものつくりの原点だと思う。
ほぼ雑草で覆われ道案内の方について行かないと迷子になりそうな道を数十分、いつもの広場に到着。ここからさらに険しい山の中を採集に歩き回る

植樹杉などのない手付かずの山はいわゆる雑木ばかり、今となっては珍しい森の中
ウサギやキジ、いろんな鳥の声、所々に猪の水浴び場…山は楽しいね

これが目指す雁皮、同じような雑木林の中見つけるのは容易ではない。この時期になると咲く小さな花と葉の形、並び方が目印

今年は不作、というより前回収穫してから次の苗が育っていないようだ。
研修の一環として自宅で育てている雁皮の苗を見ているので、このように小さくて花が無くてもこれが雁皮ということがわかるようになった

それでもやっと見つけた雁皮、収穫の喜びは口元に表れる

雁皮は収穫してその場で皮を剥かなくてはならない。楮のように後で蒸して皮をハグということができないので、山の中での作業となる。
畑にある雁皮と違って野生的、皮を剥くのもひと苦労。あっという間に時間が過ぎ、不作の雁皮を抱えての帰り道、それまで見つけられなかった雁皮を次々と収穫、結局そこそこの量となってホッと一息

雑木ばかりの山は子供の頃の記憶が、枝を掴み倒木を跨ぎながらの登り降りは息が切れる前にワクワクがとまらない。明日は筋肉痛かな

山から降りて地区の公民館の駐車場で昼食、地べたで食べたおにぎりは格別でした

雨上がりからの大人の遠足

帰る頃には快晴に

護る、つなぐ2021年05月15日 21時44分41秒


種から育てた雁皮、5年目にしてようやく収穫できるまでに

南向きに切り口を向けて刈り取り、そのまま皮を剥ぎ取る

青みがかった皮には独特の美しい光沢、これが見られるのはこの時だけ
これを使うのは再来年以降、ある程度の量が揃って会員の研修に使えるようになってからとなる。それまでにこの雁皮紙を残すためしっかり漉けるようにならないと

帰り道、昨年雷に打たれた大瀧神社境内入り口の大杉を久しぶりに見る。
上から下に切り裂いた雷の傷跡は痛々しいがまだまだ元気に芽吹いているように見えた。

本来なら切り倒すしかないと言われた大杉はもう少し私達を見守ってくれそうだ

つなぐために護るために

作ることは前に進むこと2019年09月16日 23時08分09秒


三連休最後の日も朝からトロロアオイ畑 生産部会を作ってみんなで育ててきたトロロアオイは初心者への試練、9月になっても高温多湿が続き根腐れ枯葉病などでこのままだと全滅の危機ということで急遽収穫を前倒しすることに
深く根をはったトロロアオイを引き抜くのはかなりの重労働

今日もまだまだ暑い、さらにさすがに連日早朝よりの作業などが続いて体が重い

それでも和気藹々と収穫 意外に使えそうなものも多いのがせめてもの慰め

11時までに作業は終了 もう疲労困憊
いつもなら11月に収穫するとろろあおい、それを1ヶ月以上の前倒しでは見た目はそこそこでも不安は残る。それでもなんとかするのが職人

帰省していた次女を駅に送り、工場に戻って作業再開
なんとか発送と明日納期の仕事は完了

アートワークも乾燥終了、明日仕上げて発送

しっかり仕上がった紙を見てようやく連休仕事は終了
ものを作りつづけること、いろんあことがある

大事なのは今あるものでどう作るか

それは前を向くということ

かみが示す道に間違いはない

かみと向き合う日々2019年09月05日 23時26分02秒


残暑もちょっと優しい朝方久しぶりの仕上げ
何故かこんなに光沢が出た未晒しタイ楮 美しい雲肌はまるで国産楮並み、理由は不明

何年この仕事をやっていても驚くことはしょっちゅうある

日中は博物館や外回り、来客続きであっという間に夕方、ようやくすきあかりHIRYU-Kikuに取り掛かる
輪郭だけで一旦中断、本日は越前生漉き鳥の子保存会研修

何故かひとつだけなった百年ザクロの実に見送られ研修場所に

越前鳥の子保存会研修 雁皮を煮る作業

分厚いもの長いものなどをより分け釜に入れる
ある程度煮立ってから細いものを釜に 「うまく煮えてくれよ」いろいろ教わってはきても最後は雁皮にお願い(笑)

何年やってきていてもまだまだ知らないことばかり、それは伸びしろということ

かみと向き合う日々


保存と現実2018年02月26日 00時00分00秒


週の初めの給料日、納期日、来客でてんてこまいの一日、夜は鳥の子保存会

成果品品評会 一目でわかる出来の悪さ(笑)

それでも雁皮の質感、特に光沢はやはり別物

それだけに厳しい目で見ることになる
画像ではわかりにくいが(実際見ても気付かないほど)中ほどに黄色い繊維が混入している

あれほど丁寧に塵を取っても残ってしまう。漉く時に取っておかないとなあ

薄く繊細な鳥の子雁皮紙 これらの手間や技術を考えると現実的な仕事としては相当厳しい

塵ひとつを許さない原料で汲み上げ伏せ重ね、圧搾具合、貼り込み方、乾燥温度など全てを完全にして漉く

これらの条件を必要とするところでどう使うのか見てみたいものだ