何も足せない何も引けない2013年11月14日 23時25分39秒


これは数年ぶりの襖紙、美かど 洛趣

軟らかく煮たゆがら(いぐさ)を背景に焦げ茶に染めた楮繊維を並べ

絞りと洋金箔、染め金箔をあしらって

別漉きした楮・雁皮の薄紙を重ねる

両親がデザイン、製作した紙。もう40年以上前のもの
何も足せず何も引けないこの紙はほぼ完全なデザインの民芸紙

技法の特徴から無理と思われた雪模様の紙が出来上がってきた

きちんと目指したイメージのある白い紙、
漉く作業の中ではこれ以上何も足せない、何も引けない…

紙は出来上がった時点からすでに歩き出している

ここから次のステージに 染めたり、光を当てたり

これは色とすきま、厚みのコンビネーション
ここから手を加えることを拒否する強いイメージ 

それでも光を当てたり、透かしたり…可能性は広がる

できることをやり尽くした先に世界は広がる

                かみが見えてくる

                            何も足せない何も引けない紙