隙間のある紙2016年02月01日 00時00分00秒


乱れ格子が乾いてきた。
線の太さの変化で奥行きを感じさせる

16年前、飛龍という模様を独立させてみたいと製作した紙が結果的に穴の開いた和紙の誕生となった

飛龍紙は現在のすきあかりに進化
本日、すきあかりは記憶の家の本来の場所に

おかえりなさい

伝統と革新2016年02月02日 23時49分35秒


天然紙 煮上がった楮を叩く。
ターンタンタン、乾いた音でリズムよく早すぎないように

今日も氷点下、寒い日でも5分で身体が温まる作業は早すぎるとばててしまう。

紙漉き唄のゆったりしたペースでちょうどいいくらい

この後なぎなたビーターというすり潰すというより解すと言ったほうがいい機械にかけてようやく原料となる

その傍らではこんもり盛り上がった立体和紙、和紙の立体なんて紙粘土じゃあるまいし…と頑なに作らずにいたのだが
やり方はお見せできないが意外に楽しい

さらに立体飛龍
これらがどのように組み込まれてゆくか、試作で実験済みとは言えすべて初めての経験で完成形が見えないまま、期待と不安が同時進行

本日お昼のもう一品、火鉢での焼き芋や焼き豆餅

夕食後のもう一品 友人より戴いた赤米を使った豆餅 赤飯風味の豆餅は炭火でパリっともちっとで絶品 
温まるのは身体だけではないようだ

古いこと新しいことが同居、守りつつも挑戦 これが越前和紙の伝統
                 かみを守る

                        守るだけでは伝えたことにはならない


漉き模様2016年02月03日 23時39分57秒


漉き模様 山や梅などの模様の襖紙から一歩踏み出した柄
合わせるネリの調整など絵の具などではできない味

ポップな色のドット柄 さすがにこれは襖には使えないだろうなあ 
版木など作ればもっと正確で端正なドットになるだろう。でもそれではつまらない

黒とシルバー2色のドット柄
この種のわが社の漉き模様は基本的にフリーハンド、白い雲肌の上に直に漉き重ねてゆく

どんどん襖から離れているが漉き方は同じ

動かす手があれば伝えて行ける

                   かみの手

                                     伝える手


天然紙2016 トロロアオイ2016年02月04日 22時41分17秒


昨年収穫したトロロアオイをそのまま保管して2か月、先週末に荒叩きして水につけておいた

朝、ネリの状態を見るとかなり粘りが出てきている

まだよく水になじんではいないからか若干緩めながらしっかりとした粘り

さすがに本来の一番ネリとは比較にならないものの、未晒しの楮紙を漉くには十分

一番ネリを出し終え、細かく叩き直すとさらに粘りが出てきた
だんだんいいネリが出てくる。普通とは逆の出方で面白い。

トロロアオイの匂いは醤油風味の出汁のような塩気を感じる。味わったことはないが

木灰で煮た楮、畑からそのままのトロロアオイ、準備は整った


天然紙と飛龍紙~素材と表現2016年02月05日 00時00分00秒


木灰煮、無漂白の原料は優しい色

天然紙2016 漉き作業の撮影はできなかったが貼り上がった表情は優美で美しい

残った原料を小判で漉いてみた

かなり丁寧にチリを取ったつもりでも楮の繊維の奥に残る細かいものまではなかなか手が回らない。
それでも去年よりは相当きれいな紙になった

その傍らで飛龍ストライプを漉く。細いラインはスムーズさと丈夫さとのせめぎあい

太いラインは同じ太さを保つことが難しい

ラインの組み合わせ、ばらばらにならないように工夫

素材として突き詰める天然紙、表現を模索する飛龍紙

伝統と革新

                  進むかみ

                          守るもの創るものの区別なく進む