民藝の奥深さ2012年07月11日 18時29分33秒


かなり古い襖紙のリメイクの注文

これは越前の伝統技術「ひっかけ」と呼ばれる技法によって製作された不思議な模様

引き手を外した後に下貼りに使われた紙も時代を感じさせる
型に相当な費用が予想され、予算の関係でこのままのリメイクはあきらめていただき、飛龍による手描きで製作することに

最初は何の模様かわからなかった。

何枚か試作をするうち、奥さんから「碁石を入れる入れ物じゃない?周りの小さな丸い形は碁石が散らばってるみたい」!!!

そうか!碁石か!茶室と聞いていたが碁の心得のある人が作った紙なのかもしれないな…

そうなるとこの模様が碁にしか見えなくなる

微妙なラインを一息に

これは手強いぞ
結局2回漉き直して完成、オリジナルの紙には全く雲肌は出ていなかったが、地紙(ベースの紙)に大きな流れの雲肌を出し、この碁石たちが宙を舞うように見える。

今のように専門のデザイナーもいない時代、柄の大きさ・配置などが微妙なバランス

こんなに配置に苦労したのは初めて、しかも勢いが必要なのと地紙の水の含み具合が刻々と変化するので漉き始めたらあまり時間をかけてもいられない。ちょっとした手の動きのミスで緊張感のない形になってしまう。

何より最終形に答えがないので、何がいいかも理解できないままの作業だった。

まさしく民藝

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