宙に浮かぶ飛龍2014年08月25日 21時53分11秒


始まりは東京ビッグサイト、地元の織物製造業者の展示で見つけた不思議な紗

紙と合わせて「漉き織」と名付けられている

極細の糸が布として交差しているとはいえ、全く固定されていないので触っただけで撚れてしまう

でもその透け感は魅力的だった。その場で飛龍を漉くイメージが頭に浮かび、一緒にやってみませんかと声をかけたのが始まり

次の年、これを主体にしたブースはIPECで優秀賞、一気に注目を集める

これを使ったディスプレイなど無限のイメージが次々浮かび心躍ったものだ。

ファッションデザイナーなどに使っていただいてパリコレクションなどにも使用されて、次のステージはと期待していたのだが

何故かそこまでだった。

布とも紙ともつかないもの、どこにもないものだけに価格の根拠を理解される間もなくいつの間にか、ほかの業者の方のウェディングドレスがヒット商品となった後はほとんど注目されることはなかった。

基本的に布の世界が中心だったので紙としてそれ以上力を入れる機会もないまま今日に

ところが今年に入ってひょんなことからこの漉き織の復活
力のある作家との展示会、以前の極薄の紗とは全く違うものではあったが

久しぶりの注文は住宅のインテリアに

黒い紗も私の提案、白い布はどんなに糸を細くしても光を反射してその存在を主張する。
糸を黒くして光の反射を抑え、陰影のある場所ではほとんどその存在が分からないほど

結果的に布そのものの存在意味が薄れたため、残念ながらそれ以後は製作されることはなくなってしまった

ここまで近寄って初めて布の存在に気付く

白い飛龍との対比で黒い布がさらに目立たなくなっている

距離を置けば裏から見てもほとんど同じ
今ではこの紗の在庫はわが工場だけとなったがまだまだ可能性を秘めている

何より天空を舞う飛龍の名前そのもののように、宙に浮かぶ姿はまさに飛龍の力

                 空飛ぶかみ
                                羽ばたく力を信じて