海を渡る紙2014年10月06日 22時26分57秒


いつもの大判飛龍、1200×3000
上下にグラデーションベースを付けてタペストリー仕様

これはNYの展示会へ
会場に3枚つりさげて茶室をしつらえる。できれば自分で展示したいところだが…

20代のころ旅したNYは刺激的な街だった。

もう一度ここに帰ってくると誓って帰国してもう30年近く

今回も私は行くことができない。ビリージョエルが聴きたくなった

夕食後今日も残業

この紙は北海道へ、ちょっと近いが海を渡ることには変わりない

もうすでに紅葉が始まって山はこんな色に染まっているんだろう
今日は3枚、今週末から3連休は大滝神社の秋季例祭、それまでにこの紙を30枚近く漉き上げ出荷しなくてはならない

明日からさらにペースを上げて漉き続ける

手を動かしながらいろんな思いが頭をよぎる

                   かみの旅へ
                               いつの日か、もう一度

HIRYU-STREAM2014年10月07日 23時04分39秒


結婚式の引き出物としてEICO BAG monoを選んでいただいた

包装紙はもちろん当社の飛龍紙
製造元ならではの贅沢

昨日に引き続いての紙、日中に8枚仕上げ、今日こそ残業なしでと思ったが…
夕方に連絡が入り、明日出荷の予定の紙がまだ漉いてもいないことが判明

多分わかっていても制作する余地はなかったなあ

とにかく明日発送できるようにするには何が何でも本日漉いておかないと間に合わない
そしてこの紙は飛龍だけではない

楮を流れのある飛龍に真っ直ぐ並べ、そこにもう一度飛龍

飛龍の勢いと楮を一本ずつ並べる根気

紙を編む感覚

午後10時過ぎになんとか終了、そのまま2時間ほど網になじませてから乾燥室に
飛龍に流れがあると乾くときの縮みが強い。

余熱でゆっくり乾かして
あとは扇風機で

慌てて乾かせないので間に合うかどうか

明日のことは明日考えよう
工場を出ると今日は満月、なんとかなるさ

物言わぬ職人の休息2014年10月08日 21時10分46秒


数日前から調子が悪いと聞いていたビーター、とうとうモーターが止まる
業者に修理に来てもらうとこのモーターは40年前のもの、私が工場に入ってから一度も壊れたと聞いたことはなかったのでその間ずっと働いてきたということ

このモーターは日本の技術が輝いていた時期に作られ今はもう廃番だが、少々のことなら馬力以上の無理にも耐える上質なもの、まだまだ現役で働く工場も多いらしい。

現在製造されているモーターだと一ランク上の馬力でないともたない上に規格も合わず、結局断線が原因で線のまき直しをしてベアリングとプーリーを新調しまだまだ働いてもらうことにした。

止まったままのビーター、中の原料をどうするかは明日考えることにして、久しぶりにしっかり見てみる

ビーター担当の職人が交通事故で入院中、私もここで格闘していたことを思い出す
そのころから古さは変わらず、歴史が外観の凄みを増しているようだ

錆は見えても芯はそのまま、昔の機械は丈夫にできている
もうちょっと一緒に頑張ってくれ

今日は皆既月食、大きく欠けた月は山の陰で見えなかったが午後9時過ぎになると地球の影はしっかり月に映っていた
月の他にも星がよく見える澄んだ夜空

動かなくなって改めて気付く、物言わぬ職人

40年も休みなく働いてきたモーター、「お前ももちょっと休め」と言ってくれたようだ

                  かみの休息
                        今日は残業も休み、明日に備えよう

本日の残業2014年10月09日 22時44分40秒


日中は相変わらずの急ぎ仕事、何とか明日出荷は間に合いそう

それでも仕事は自分の時間に合わせてはくれない。

ビーター停止のため襖用の地紙の原料が用意できないので急きょ漉くことになった楮紙

連休明けに間に合わせるには今日のうちに煮ておかないと
午後7時まで煮てあとは蒸らす

その間に特注紙の製作

3種類の漉き方、色にも細かい指定
こういう紙は静かに夜漉くことが続いている

それなりに満足いく仕上がり
終わったと思ったら急にお腹がすいてきた

空腹も忘れて漉いていたようだ

日中から引き続きの格闘の後、仕事は道具を片付けて初めて終了なんだけど…
朝から手間のかかる特注紙を10枚を何とか漉き上げ、さらに夜まで引き続きではさすがにどっと疲れも出てきて、後始末は明日に

明後日から大滝神社の秋季例祭、今週は休日仕事というわけにはいかない

やれるときにできることを

ちょっと気になるのは季節外れの大型台風

祭りの前夜、ひと段落2014年10月10日 22時01分19秒


実質4日で漉き上げた照明用の特注紙もようやく終了、表側はややおとなしく見えるが

透かして見るとこの通り
ようやく本日出荷

グレーの波楮、RING、格子のコンビネーション紙、この紙も本日無事に納品

1200×3000の飛龍のタペストリー、さすがにNY行きの荷造りまでは手が付けられなかったが

しっかりした袋を上下に仕込み、ステンレス棒を入れて吊り下げ用の仕立は完成
どうやって吊るかは同行する表具師さんにお任せして、とにかく明日から荷造り、と言っても祭りがあるので時間は限られているが

こんな忙しい合間なのに…でもこんな時だから作ってしまう

残った飛龍の原料は渦巻がらに

明日朝から大滝神社秋祭りの準備、そして御神体をお迎えに山に登る「お下り」
工場も片付け、祭りに備える

                 静かなかみの宵

                                    祭りの前夜