こだわりの紙2014年10月16日 22時57分18秒


格子のグラデーション、流し込む場所と量、水の漏る時間すべてを考えて漉く

すうっと格子が消えてゆくように根気よく丁寧に

実際は落水によって表面にはほとんど出てこないが、そのほんの少しの加減が完成度を上げる、それがこだわり

例え見えなくてもこだわっておかないと全体を見た時にいい加減なところは現れてしまう

乱れ格子を上へ行くほどまばらにというグラデーション
一見簡単そう、でもラインひとつで全体のバランスが崩れてしまう

また直線の精度もしっかりしたものにしなければならない

さらに下から落水の大きさを微妙に変えている

最下部、細かい落水と密度を上げた乱れ格子、上に行くほど線の角度も微妙に変化させる

中間部、このあたりの角度と直線の数にはかなり神経質に仕上げないと

上部は大きな落水で
時間ぎりぎりまで仕事、そそくさと準備して「ものつくり塾」に

今日の会場は廃校になった分校跡、毎回場所が変わるので楽しみ
ここが子供たちでいっぱいだったのはいつ頃のことだろう

小さい体育館、でも当時はこれで充分だったんだろうね
何をもって豊かといえるのか、もう一度考えるとき

久しぶりに見たダイヤル式の黒電話機

まさに保健室

当時のものを展示、これを分かるのは40歳以上

一昨年に行った新潟の妻有トリエンナーレを思い出すような廊下
アートイベントなんかをやってみたいね

これも展示物の蓄音器、私でもリアルタイムでは見ていないな

まるで小学校の授業にタイムスリップしたようだが、黒板の代わりにPCディスプレー

目の前の相手の取材を通して自分を見つめ直すワークショップ
本もノートもいらない、ここでの体験だけ。でも少しずつ自分が変わってゆく気がする


明石病院2014年10月17日 00時00分00秒


今年納品した明石病院から画像をいただいた

色を排した紙は必要以上の主張をしない。

意識の加わる人の目はこの隙間からでも人の顔を認識できる
そして向こう側が見えてしまうこの作品はこれを見ている人はあなただけではないことをその場で実感する

人の姿をしっかり見ることができ、受け入れられる自分を知ること

心の病は重さの程度で決まるだけ、誰でもが普通に持っているもの

                  かみが語る


久しぶりに母の作った作品を展示してみる

カイコが細い糸を吐くことから生まれる繭の力
数々の掛け軸などを吊った古い家の床の間、歴史という背景を自然に醸し出す。

思いをもって漉き上げた作品、ここ以上の輝きは再現できないと思う

伝えることは難しい


得意先から「あの『フグ刺し』のサンプルを」との注文

確かに乾く前は正にフグ刺しそのもの
出来上がりはフグ刺しの面影は全くなくなり、菊柄の集合体になのだが

それでも心通じた相手同士なら「フグ刺し」でも充分伝わってしまう

画像や言葉の情報を超えたもの、人と人との絆

多賀大社2014年10月18日 21時44分52秒


とある人から勧められた多賀大社へ参拝、快晴の土曜日
本当は伊勢参りもまだなのだが

いよいよ境内に




ここにもあったさざれ石


快晴の空のもと、荘厳な本殿の姿、凛と心引き締まる思い

まだ午前9時過ぎというのに多くの人々が参拝に来られている
中には七五三のお参りも

参拝の受付の後、待合所へ案内される

ここから本殿に
快晴とは言えもう10月半ばでやや肌寒い。

祝詞を聞く間、ふうっと風が吹く

心のよどみが消えたようだった

参拝の後、庭園を観覧

木漏れ日の中にある廊下

国宝の襖絵

若いころにはただ古いものとしての価値でしか見られなかったので落ち着いてみることはなかったなあ

床の間全面に描かれた富士

建物がいいので影も楽しめる

いろんな形式の庭が同じ敷地に

一歩外に出れば名物だらけの参道

銅板貼りや櫛引の入った壁

料亭だったらしいが仕事を終えた今でも当時そのままの形を残している

猫舌地獄?があちこちに
タイムスリップしたような経験はこの後も続く

彦根市内には古い民家を改装した店が目立つ

花屋と聞いていたのだが雑貨や服が所狭しと

テーマのないテーマパーク
楽しい店だったけど大きなイベントが行われている市内は混雑が激しく、また次回にゆっくり来よう

とりあえず昼食、お目当てのイタリアンは満席で通りすがりのカフェに

オーガニックでやさしい味のランチでした
さてBIWAKOビエンナーレへと出発

BIWAKOビエンナーレ 12014年10月19日 00時10分04秒


滋賀の道は意外に混雑していて2時過ぎにようやく到着

とりあえず一休みで街中のカフェ、古民家の中にいろんな手作りのものが並ぶ店内
元気な店主の美味しいコーヒーとビエンナーレの案内をたっぷりと!いただいて出発

と言ってもここの2階にも作品、まずはここから

私には懐かしいような古い建具の2階には床一面に展示された作品

外の景色が室内に並ぶ紙と泥団子でつながっている
その日の天気や時間によっていろんな表情を見せている。

十数年ぶりの近江八幡市、小さかった長女を抱えてこの辺りをちょっと歩いただけだった

古い家がそのままに

ボーリス建築があちこち街の中に


よく見ると柱や屋根の作りは日本の宮大工の仕事のようだ

さらに脱線、ここは有名な老舗和菓子の本店があると知ったら…

行かねばなるまい
早くもお土産、普段はのんびりした観光地なんだろうね

この川沿いの散歩もいいなあ
街並みから受ける印象からこのような古民家に作品が一つか二つ展示されていて、のんびりあちこち見て歩くように思っていたら…

ここからが圧巻だった

古い町並みの特徴である狭い間口の入り口から一歩入るといきなり大きな土間

壁一面の大作、でもそれ以上に大きな空間
靴を脱いで畳の間に入ると次々と作品が

サンドペーパーで削ることで参加する作品

格子戸からの光

中庭

奥座敷

蔵の中

蔵の2階

屋根裏

思わぬ場所に点在する作品群、かくれんぼうをしているような感覚でわくわくしてきた

さて次の会場に、刺激的な空間に期待が高まる快晴の夕空、先を急ごう

でもいい時代の建物が邪魔をして(笑)

古道具屋が気になるお年頃
あと一つだけ見てまた来ることにしようと決めて次の展示場に

さらに多くの作品群が待っていた

BIWAKOビエンナーレ 22014年10月20日 18時58分42秒


酒蔵跡の会場、それほど目を引くような入口ではない

この場所が持つ力がすごくて一体どこまでが作品なのか

泡沫:UTAKATA開幕!

一歩足を踏み入れた途端に…引き込まれる

大きな酒のタンクに増殖する


ここにそのまま残っていたものらしい。いろんなものに存在感がある

広い会場ならではの迫力

これが割り箸なんて

ブラスチックトレイなんて意識はとうにどこかへ



酒蔵に住む精霊



暗い部屋からちょっと階段を登ると光の入る部屋


そしてまた暗い会場に

キャプションは最小限、作品主義の展示が心地よい


麹を培養する麹室





なんかいるんだろうな

やっぱり…

大きい会場

無人列車が走る

その2階にも作品群

作品の影などの展示以外のものにも刺激を受ける

上を見たり下を見たり、

天井から吊り下げたガラス玉

赤い色が不思議な雰囲気

まだ奥にあるようだ

暗がりに目が慣れるとその姿が次々と





さらに中庭、音と形が

畳が額縁

箪笥

古い記憶がうごめく部屋


BIWAKOビエンナーレ2014

近江八幡という古い街の魅力

残りの作品を見にもう一度行くことにした